第18章:交渉

西尾聡雄は黒いペンをゆっくりと回しながら、一言も発しなかった……

会議室にいる二十数名の幹部たちは息を殺して発言を控え、緊張感が漂っていた。

しばらくして、西尾聡雄が口を開いた。「あの案件は、もうパスした」

「えっ?却下したんですか?なぜですか、西尾社長。あれは我が部署が一年かけて予算を組んで測量し、三ヶ月かけて作り上げた企画です。必ず利益が出るはずです。会長も承認済みなのに」

西尾聡雄はそれを聞いて顔を上げ、開発区の部長を無関心そうに一瞥してから言った。「今のGKは私が采配を振るう。私の判断に理由は必要ない。受け入れられないなら、辞表を出せばいい」

言い終わると、西尾聡雄は手にしていたペンを机に叩きつけ、バンという音に全員が声も出せなくなった。

そして会議室を出て行った……