「よく私に聞けたものね。私に言い訳しないでよ。あなたたち、こっそり会ってたんでしょう?」永田美世子は青木岑を睨みつけた。
青木岑は言葉を失った。確かに、西尾聡雄とは会っていた。それは本意ではなかったが……
でも母は彼女の説明を聞く耳を持たないだろう。今は何を言っても、母をより怒らせるだけだ。
「お母さん、ゆっくり休んでください。明日また来ます」
「来なくていいわ。もし恥ずかしくないなら、もう二度と私に会わないで。私が原伯父のように早死にしてしまうから」
母のこの皮肉な言葉に、青木岑の心は痛んだ……
原伯父の死について、彼女は七年間ずっと後悔してきた。この七年間、誰よりも辛い思いをしてきたのだ。
そう思うと、もう何も言えなくなり、病室のドアを開けて出て行った……
「姉さん、送るよ」