第16章:心の結び目

「体育の授業中だったんだけど、突然吉田伯母から電話があって、お母さんが雑貨屋の前で倒れたって。すぐに早退して、救急車も呼んだの」

「母さんはずっと元気だったのに、どうしてこんなことに?」青木岑は心配そうに言った。

そのとき、病室のドアが開き、醫師が入ってきた。「永田美世子さんのご家族の方、ちょっと来てください」

「はい」青木岑は急いで醫師について外に出た。

「患者さんのお嬢さんですね?」醫師は青木岑の年齢から推測した。

青木岑は頷いた……

「患者さんが高血圧だということはご存知でしたか?」醫師は厳しい口調で尋ねた。

「はい、母は薬も飲んでいますし、普段から休養も十分取っています。私も時間があれば血圧を測っていて、ずっと安定していました」

「患者さんは強いショックを受けて血圧が上昇したと思われます。お子さん方も気をつけてください。心臓も良くないし、高血圧もある。このまま注意を怠ると命に関わりますよ」