第45章：天が崩れる

青木岑は自分がどうやって家を出たのかも忘れてしまい、病院の救急室に着いた時には。

手術室はすでに閉鎖され、多くの人々が外で待っていた。

彼女は母親が廊下の椅子の横で崩れ落ち、悲しみに暮れて泣いているのを見た……

「お母さん、幸治はどう？」

「私の可愛い幸治、無事でいてください。そうでなければ母さんはどうやって生きていけばいいの？」永田美世子は青木岑が見えないかのように、ただ目を閉じて泣いていた。

二人の看護師さんが静かにするように注意しようとしたが、青木岑を見て少し驚いた様子で、「青木さん、あなたも患者さんのご家族ですか？」

青木岑は顔色が青ざめながら頷いた。「美玖さん、弟の状態はどうですか？今どんな状況なんでしょうか？」

「まだわかりません。でも搬送された時はかなり深刻で、不整脈があり、血圧も異常に高かったんです。主治医が今必死に救命中です。しばらくお待ちください。」

「はい、わかりました。」

青木岑は全身の力が抜け、まるで虚脱状態になりそうだった……

昼にはまだ一緒に食事をして、笑い合っていたのに、どうして午後にこんなことが起きてしまったのか？

もし幸治に何かあったら、自分と母親がどうやって生きていけばいいのか想像もできなかった。

七年前、原伯父の死によってすでに家族は霜を被っていた。今、弟にまた何かあれば、自分は生きていけないかもしれない。

その時、他の家族も泣いているのを見て、やっと状況を聞かなければと思い出した。

すると、四十歳くらいの中年男性が近づいてきた。金縁の眼鏡をかけていた。

青木岑は彼が原幸治の大學の教師だとわかった。

「荒木先生、一体何があったんですか？」

「実はね、原幸治君は図書館から寮に戻る途中で事故に遭ったそうです。しかも今回の事故では原幸治君だけでなく、他の三人の学生も重傷を負っています。連続の交通事故でした。」先生は重々しい口調で答えた。

青木岑は少し驚いた……

「どうしてそんなことが？キャンパス内は制限速度があるはずです。そんな遅い速度で、どうしてこんな重大な事故が起きるんですか？」