原幸治は言った。「姉さん、恋愛は間違いじゃないよ。間違っているのは姉さんじゃなくて、西尾家の人たちがひどすぎるんだ。あの時、卑劣な手段で二人を引き離したんだから。実は姉さんもすごく辛かったんでしょう?西尾兄のことを深く愛していたんでしょう?」
「幸治……」青木岑は突然何を言えばいいのか分からなくなった。
「姉さん、僕を子供だと思って何も分からないと思わないで。それに、姉さんと寺田兄が別れたことも知ってるよ。あの日、彼に電話した時、声の調子で何かおかしいって分かったんだ。彼は直接は言わなかったけど、二人の間に問題があったのは分かった。それに、あの日お母さんが入院する前に西尾兄が家に来たこと。この二つのことを考えると、姉さんは本当は寺田兄のことが好きじゃなかったんじゃないかな。心の中ではずっと西尾兄のことを愛していて、忘れられなかったんだと思う。だから僕は姉さんを責めたりしない。お父さんはもう亡くなって、戻ってこない。僕はただ、姉さんが後悔を残さないでほしいだけ。恋愛は無理強いできないものだよ。雑誌で読んだけど、恋愛は飲み水みたいなもので、冷たいか温かいかは飲んだ人にしか分からないって。寺田兄はいい人かもしれないけど、姉さんの愛する人じゃない。だから、好きじゃない人と一生を過ごしてほしくないんだ。もし西尾兄のことが好きなら、彼と一緒になればいい。たとえお母さんが反対して、憎んで、罵っても、僕はそうはしない。僕は理解するよ。因果応報っていうでしょう。西尾家のしたことを西尾兄のせいにはできない。僕が言いたいのは、姉さんが幸せならそれでいいってことだけだよ。」
原幸治がこの言葉を言い終えた時、青木岑はすでに涙を流していた……
彼女は泣き虫ではなかった。寺田徹と別れた時も一滴の涙も流さなかった。
でも今日、弟のこの言葉は、彼女の心を深く揺さぶった。
弟はまだ十九歳なのに、姉の立場に立って考えてくれるなんて、本当に素晴らしいことだった。
以前流行った言葉がある。多くの人はあなたが高く飛べているかどうかを気にするけど、本当にあなたを気遣う人だけが、飛ぶのが疲れていないかを心配するって。
そして弟はまさにそんな優しい人で、いつも青木岑が落ち込んでいる時に励ましてくれる。