第42章:終わり

「ああ、先に入って少し待っていて。歯を磨いて顔を洗うから」青木岑はドアを開け、寺田徹を中へ通した。

彼は中に入ると、この小さな家をゆっくりと見渡し、様々な感情が込み上げてきた。

当時、青木岑と一緒に引っ越してきた時のことを覚えている。別々の部屋で寝ていたとはいえ、毎日顔を合わせられることが本当に幸せだった。もしあのクラス会での出来事がなければ、今頃は結婚式を挙げていたかもしれない。

寺田徹は青木岑の元カレを本当に憎んでいた。もう何年も前に別れているのに、なぜまた彼女に纏わりついてくるのか?

そんなにお金があるなら、他の女性を見つければいいじゃないか。なぜ青木岑に執着するのか?

青木岑は服を着替えた後、洗面所で身支度を整えた。出てきたとき、寺田徹がソファに座って新聞を読んでいるのが見えた。

「何の用?」青木岑は髪を拭きながら歩き出した。

「昨日は...保釈してくれてありがとう」寺田徹は突然気まずそうに口を開いた。

青木岑は彼が何を言おうとしているのかすぐに理解し、淡々と「どういたしまして」と返した。

「岑、実は普段の僕はあんな風じゃないんだ。昨日は気分が悪くて、僕たちの過去のことを思い出して、それで酒を飲んだんだ。酔っ払って、バーである女に連れて行かれて、その後何が起こったのか本当に覚えていないんだ。信じてくれ」

「それは私に説明することじゃないでしょう。今のあなたの彼女は岡田麻奈美さんでしょう」青木岑は注意を促した。

「岑、僕がまだ君に気持ちがあるのは分かっているだろう。この数年...」

「徹、結局何が言いたいの?」青木岑は要点を直接聞いた。

「岑、今回は僕が悪かった。昨晩も迷惑をかけて、迎えに来てもらって、ホテルまで送ってもらって、本当に申し訳なく思っている。岡田麻奈美とは遊びだけだった、本気じゃない。僕の心の中で愛しているのは君だけだ。水に流そう。君が元カレと未練がましくしていた件は追及しない。今回の僕の失態と、岡田麻奈美のことで帳消しにしよう。僕たち、また昔のように戻れないか?」

「徹...人生はゲームだと思っているの?壊れたらリセットできると?」青木岑はタオルを置き、寺田徹の目をまっすぐ見つめて真剣に尋ねた。