第79章:懲罰

西尾聡雄が与えた時間は一時間だったが、リックはたった二十分で済ませた。

真っ赤なフェラーリのスポーツカーがGKの前に停まり、長身の男が黒いレザージャケット姿で車から降りた。

GKの中が騒がしくなった。フランスと日本のハーフということもあり、その端正な顔立ちは特に注目を集めた。

社長室にて

「やあ、聡雄、久しぶりだな」

「座れよ」西尾聡雄は立ち上がってオフィスのワインセラーに向かい、赤ワインを二杯注ぎ、一杯をリックに手渡した。

「俺を呼んだってことは、重要な用件があるんだろう?話してくれ」

リックは空のワイングラスを揺らし、微笑んだ……

西尾聡雄とは何年も前からの友人で、頻繁に連絡を取り合うわけではないが、親交は深い。

実際、男同士の友情は女とは違う。三日おきにお茶を飲んだり買い物に行ったりはしない。