第76章:追憶

しばらくして、西尾聡雄はゆっくりと答えた。「ただ一つ分かっているのは、君と別れた七年間が僕の人生で最大の過ちだったということだ」

その言葉に、青木岑の心は一瞬止まった。まるで何かが静かに砕けていくような感覚だった。

それは、彼女が長い間外に向けて張っていた防壁だったのかもしれない……

その後、二人は道中ずっと黙ったままだった……

御苑に戻ったのは、九時二十分に過ぎなかった。

青木岑は西尾聡雄の指示に従って、リビングの棚から救急箱を見つけ出した。

そして二人はソファに座り、青木岑は慎重に西尾聡雄の傷の手当てを始めた……

西尾聡雄は手のひらだけでなく、膝も擦り傷を負っており、血が滲んで高価なカジュアルパンツを汚してしまっていた。

「包帯を巻き終わったわ。この数日間は水に触れないように。お風呂の時は気をつけてね」と青木岑は注意を促した。