決定的な瞬間、青木岑は後ろのテーブルから陶器の筆立てを掴み、寺田徹の頭めがけて投げつけた。
ガチャンという音とともに、寺田徹は急に動きを止め、その場で固まった。
青木岑は彼が呆然としている隙に、その魔の手から逃れ、横に飛び退いた。
「岑、まさかお前...俺を殴ったのか?」寺田徹は冷笑いを浮かべながら、怒りの色を帯びた目で言った。
「これは全部あなたのせいよ、徹。私たち...深い愛なんてなかったから、憎しみもない。この数年、あなたは私に尽くしてくれた。私もあなたに借りはないわ。」
「借りがないだって?青木岑、この数日間、俺はお前のために散々物を買い、気遣ってきたじゃないか?そんなこと言うなんて、良心はあるのか?全部犬に食われでもしたのか?お前という薄情な女め。」寺田徹は少し腫れ上がった額を押さえながら、歪んだ笑みを浮かべた。