「いいえ、伯母さん、私たちは喧嘩なんてしていません」青木岑は心にもないことを言った。
「そう?でも何か様子がおかしいように見えるけど」寺田母さんは独り言のように言った。
「お前はいつも余計な心配をするんだから。何も問題ないって言ってるだろう。岑は分別のある子だから、徹とは絶対に喧嘩なんかしないよ」寺田父さんは笑いながら言った。
そう言われて、青木岑の心はかえって落ち着かなくなった……
食事の後、青木岑は老夫婦を第一病院の外来待合室に案内した。
その後、彼女は眼科の診察室へ向かった……
その時、寺田徹は白内障の手術を終えたところで、手術室から出てきて、少し疲れた様子だった。
「徹」
「何か用?」寺田徹は非常に冷たい態度だった。
「寺田伯父さんと伯母さんが来ています。あなたの電話が通じなくて、私に連絡してきたんです」