「ついでだ」西尾聡雄は青木岑をちらりと見て言った。
青木岑は何も言わず、助手席のドアを開けて車に乗り込んだ。
一晩の疲れで心身ともに疲れ果てていたので、車に乗るとすぐに目を閉じ、休息を取った。
西尾聡雄も黙ったまま、車内の音楽を流した。
優しい音色が流れ出した。水木の里の歌だった……
あなたが去る夢を見て、私は涙で目を覚ました。
夜風が窓辺を吹き抜けるのを見て、私の愛が伝わるかしら。
年老いてゆくその日まで、あなたは私のそばにいてくれるの。
嘘と誓いが、過去とともにゆっくりと消えていくのを見つめて。
多くの人があなたの若き日の美しさに魅了されたけれど、誰が時の無情な変化に耐えられるだろう。
多くの人があなたの人生に現れては去っていったけれど、一生あなたと共に、私はずっとそばにいる。