「ちょっと出張で台北に行くんだけど、明日の夜の便なんだ。一緒に行かない?」
「私?いいわ、仕事があるから」
「休暇を取ればいいじゃない。二、三日で戻るよ」
「行かないわ。気分じゃないし、どこに行っても楽しめないと思う」青木岑は首を振り、空気を読まない行動は控えることにした。
病院で問題が起きたばかりなのに、自分が休暇を取って出かけてしまったら、あの人たちが産婦人科で騒ぎを起こしたり、山田悦子に迷惑をかけたりしたらどうするの?
他人に面倒な後始末を残すわけにはいかない。
「そうか」青木岑が気が進まない様子を見て、西尾聡雄も無理強いはしなかった。
腕時計を見ると、もうすぐ8時だった。
「お腹すいてない?何か食べる?」
青木岑は首を振った……
「病院で何かあったの?」青木岑の落ち込んだ様子に気づいて、西尾聡雄は思わず尋ねた。