第177章:法外な値段

「私がそんなに馬鹿だと思うの?」西尾聡雄の一言に青木岑は返す言葉を失った。

彼女も西尾聡雄がお金持ちの馬鹿ではないと思っていた。

事態がここまで悪化している中で、もし金銭で解決するなら、それは彼女が罪人であることを認めることになってしまう。

しかも、あの家族は一億円もの法外な金額を要求してきた。

「吉田院長はどう言ってたの?」

「病院側の対応は任せておけ。余計な心配はするな」

「うん」

「夕方6時に話し合いの約束をしてある。先に家に送って休ませるよ」

「私も一緒に行かせて?」

「必要ない。この件は私に任せておけ」西尾聡雄はきっぱりと断った。

青木岑もそれ以上は主張しなかった。正直なところ、あの人たちと会ってどんな話ができるのかも分からなかった。

でも彼女は西尾聡雄を信頼していた。彼には常に自分なりの原則があったから。