第176章:獲物

「うん、一つあるけど、今のところ推測の段階だけど」

「俺が片付けてやろうか?」

青木岑は首を振った。「女同士の戦いは、私自身で解決させて。だって、夫の後ろに隠れる馬鹿な妻になりたくないから」

青木岑の何気ない一言で、西尾聡雄の機嫌が大変よくなった。

「俺が旦那だって分かってるんだな?」表面上は冷たく言ったものの、内心では喜んでいた。

「あ...頭がまだ痛い」青木岑は言葉に詰まり、再び怪我の痛みを装った。

「検査は受けたのか?内部に損傷がないか?」西尾聡雄は心配そうに尋ねた。

「受けたわ。何も問題ないの、表面的な傷だけよ」

「じゃあ、少し横になっていろ。俺は資料の処理をする」

青木岑をソファーに寝かせた後、西尾聡雄は傍らでノートパソコンを開いて仕事を始めた。

後で食事に連れて行くつもりだった。