言い終わると、桑原勝が何かを言う前に、青木岑は部屋を出て行った。病室に一人残された桑原坊ちゃんは混乱していた。
これは一体何なんだ?挑発されたということか?
よくも幼稚だなんて言えたものだ。なんて生意気な女だ。死にたいのか?
「外で息してる奴、誰か入って来い」桑原勝は怒鳴った。
すると、ボディーガードの一人が慌てて入ってきた。「坊ちゃん、何のご用でしょうか?」
「さっき出て行った看護師、覚えているか?」
「はい」ボディーガードは素直に頷いた。
「そうだ。彼女の顔を覚えておけ。今後、私の部屋に入れるな」
「承知しました、坊ちゃん」
桑原勝は注射の跡を押さえながら、怒りが収まらなかった。彼の短気な性格は業界でも有名だった。
幼い頃から、周りから大切にされ、両親でさえ彼に大声を出したことはなかった。