「看護師長を呼んでこい」桑原勝は少しイライラしていた。
細川玲子看護師長が来たが、ただひたすら謝罪するばかりで、青木岑のことについては一切触れなかった。
結局、桑原勝が面子を捨てて自ら尋ねるしかなかった。「青木岑というあの生意気な女、これからは彼女に俺の看護を任せてくれ。他の看護師は要らない。豚みたいに愚かだからな」
桑原坊ちゃんの言外の意味は、この看護師たちの中で青木岑の手技だけが気に入っているということだ。重要なのは、青木岑が普通の看護師ではないということだ。医師免許は持っていないものの、妊婦の帝王切開手術ができる看護師なのだ。これだけでも彼女の医術が優れていることは明らかだ。吉田院長の言う通り、青木岑の現在の才能からすれば、看護師として働くのは人材の無駄遣いだ。しかし、本人が望んでいるのだから仕方がない。