「もちろん好きよ。でも桑原勝の周りには女が多すぎて、私には競争力がないわ」青木婉子は頭を下げて、自信なさげな表情を浮かべた。
「婉子、お母さんがプレッシャーをかけているわけじゃないけど、あなたが青木家に生まれた時から、結婚の自由なんてないのよ。あなたの結婚は利害関係だけを見ればいいの。恋愛なんて馬鹿げたことを言わないで。婉子、まだ若いから分からないでしょうけど、私の年になれば分かるわよ」神谷香織は懇々と諭した。
「ママ、私の周りの男たちはろくでもないわ。みんな恋愛を遊び半分にしか考えていない人たちよ。そんな人たちと結婚なんて絶対に嫌。でも桑原勝は違うの。確かに女は多いけど、本気で付き合っている人はいないわ。その女たちは彼にとって服みたいなもので、何の感情もない。彼はかっこよくて、一番お金持ちだし、私はみんなが憧れる太子妃になりたいの。そして、パパがママを大切にしたみたいに、桑原勝の愛する人になりたいの」
桑原家に対して、どれだけの令嬢たちが首を長くして待っていることか……
桑原勝がどんなに気難しくても、まだ数多くの女性が彼の魅力の虜になっているのだ。
青木婉子は特に桑原勝のルックスと高飛車な性格が好きだったが、残念なことに、桑原勝は彼女のことなど全く相手にしなかった。
彼女には桑原勝に近づく機会さえなかった。
神谷香織はそれを聞いて考え込み、しばらくして言った。「桑原家は確かにいいけど、あの桑原坊ちゃんは近づきにくいわ。気分屋だし、このプランを実現するのは難しいかもしれないわね」
「試してみなければ分からないでしょう?私には桑原勝の友達とよく遊んでいる親友がいるの。私は必ず彼が私に興味を持つように仕向けるわ。それに、私は他の女とは違うの。私は清純で、スキャンダルもないわ。一度桑原勝が私に興味を持てば、そのチャンスを逃さないわ。私は桑原勝と付き合うだけじゃなく、結婚もしたいの。桑原家の支援を得なければならないわ。桑原家は五代目一人っ子でしょう?私が桑原勝の子供を妊娠すれば全て上手くいくわ」
「それが一番いいわね」神谷香織は賞賛するように頷いた。
彼女たちはここで勝手に夢を見ているだけで、桑原勝が青木婉子と結婚するはずがないということを考えもしない。