「GKで働かないか?執行副社長のポジションを用意している。取締役会にも直接入れるし、GKの株式も持てる。他の株主なんて目じゃないよ」
「そうですね。GKの1%の株式でも、青木家の10%の何倍もの価値がありますからね。それは信じられます」
「じゃあ、来てくれるかい?年俸5000万円で誠意を持って招聘したいんだが」
「奥さんに便宜を図ったって知られたら、まずくないですか?」と青木岑は笑った。
「もう妻なんだから、便宜を図る必要もないだろう?」
「そうですね。だから執行副社長なんかよりも、GKの奥様としてゆっくり過ごす方がいいかもしれません。その方が楽だし、お金ももらえますし」と青木岑は冗談を言った。
西尾聡雄は何も言わなかった。青木岑がGKに来るつもりがないことは分かっていた。彼女をからかうためにそう言っただけだった。