大石爺さんは食べかけのリンゴを置いて、にこにこしながら青木岑を見て言った。「最近、私のことをよく気にかけてくれて、将棋の相手もしてくれるし、薬も飲むように見守ってくれるし、妻と相談して、あなたに彼氏を紹介することにしたんだ。この間ずっと観察していたけど、青木さんは本当にいい子だね。病院の看護師の中で一番信頼できる。質素な服装で、何より派手じゃない。今時の若い子にはめったにいないタイプだよ」
「そうよ、うちの大石さんがずっとあなたのことを、どんなにいい子かって話してたの。彼の目は間違いないわ」
「あの...ちょっと待ってください、大石爺さん、私は実は...?」
「まだ話さないで、聞いてくれ。私の孫はもう結婚してるから無理だけど、私の四番目の弟に孫がいてね、ちょうどあなたと同じくらいの年で、とても実直な子なんだ。今は空軍の地上勤務で、もう中尉になってる。若くて有望で、これからも昇進していくだろうし、場所も遠くないんだ。S市にいるから、結婚しても、もしS市が嫌なら、ここで仕事と生活を続けることもできる。近いから問題ないよ」
青木岑は冷や汗を流しながら聞いていた。何がなんだか分からない、まだ会ってもいないのに結婚の話まで出てくるなんて。
重要なのは、彼女はもう結婚しているということだ。大石爺さんは余計なお節介をしているだけではないか。
青木岑はさっと立ち上がって、「大石爺さん、申し訳ありませんが、私その...?」
「分かってるよ、あなたが恥ずかしがり屋だってことは。だから全部手配しておいたんだ。明日、私の孫が来るから、私の見舞いのついでに会って話してみたらいい。若い者同士なら話題もあるだろう。うまくいけばいいし、だめでも友達になれるさ」
この大石爺さんはなかなか前向きだ。大石爺さんの奥さんも同意して、「そうよ、あの子は人柄は絶対に信頼できるわ。ちょっと堅物だけど、頼りになる子よ。安心して、私たちがあなたを騙したりしないわ」
「お気持ちは分かりますが、問題は私はもう...?」
「あら、早くテレビつけなきゃ、ニュースを見逃すところだった」大石爺さんは額を叩いて、すぐにリモコンを探し始めた。
大石爺さんの奥さんも一緒に忙しくなり、青木岑の抗議は完全に無視されてしまった...
青木岑は黙って病室を出た。また面倒な見合いになりそうだ...