第250章:ときめき

案の定、桑原勝はすぐに大人しくなり、おとなしく体温計を咥えた。時々彼は考えていた。青木岑という女は生まれながらに自分の天敵なのではないかと。

なぜ他の女なら容易く手を下せるのに、頭を撃ち抜くことだってできるのに、彼女の前では全く手も足も出ないのだろう。

何か呪いにかかったのか?それともこの女に呪術をかけられたのか?

青木岑は椅子を引き寄せ、そのまま病床の前に座り、結果を待った。

桑原勝は時々彼女を見つめていた……

青木岑は頭を下げたまま報告書を書き続けていた。とても真剣に。

桑原勝は携帯を取り出し、そっとカメラを起動させ、シャッター音を消した。

「青木岑」

「ん?」青木岑は何気なく顔を上げた。

その瞬間、写真が撮られた。夜の光は良くなく、画面は少しぼんやりしていた。