指先から漂う香りに、桑原勝は少し衝動的になり、彼女の手の甲にキスしたい衝動に駆られた。
しかし、青木岑のこの荒々しい性格では、彼の手を切り落とされかねないと思った。
そう考えて、少し迷った末、その考えを諦めた……
「熱は下がりましたね。体力はなかなかいいみたいです」
「当たり前だろ。俺は以前数年間特殊部隊員だったんだぞ。俺様を侮るなよ?」
青木岑は黙ったまま、物を片付けて立ち上がった……
「おい、おい、もう帰っちゃうの?」
「熱は下がったんだから、あとはゆっくり休めばOKです」
「でも……今お腹が空いてるんだけど」桑原勝はお腹を押さえながら言った。
青木岑は呆れた目で彼を見つめ、スイートルームのキッチンに行って確認すると、残っているのは全て海鮮だった。
「発熱は体内の寒気が原因なので、この数日間は海鮮類は控えてください。海鮮粥も飲まないでください。食事は薄味にしましょう」