「俺はどんなタイプなんだ?」桑原勝は顔を上げた。
「迅速果断だろ。気に入ったらすぐ行動する。俺が知る限り、お前と二十年以上の付き合いだけど、女を口説くのに一時間以上かかったことなんてないぜ。お前の立場の前じゃ、女たちは強がりたくても強がれないからな」
関口遥の言葉は確かに正しかった。以前、ある新人女優が駆け引きをしようとした時、桑原勝は彼女に目をつけたが、彼女は駆け引きをしてきた。
結果、桑原勝はその夜、その女優と同じ事務所の後輩と寝てしまい、翌日その後輩は大作映画の主演女優として大出世した。
その新人女優が後悔して桑原勝を探しに来た時には、彼は既に彼女が誰だったかも忘れていた。
それ以来、業界では皆知るようになった。桑原坊ちゃんは断られるのが嫌いで、興味を持った時は素直に服を脱ぐべきだと。