「俺はどんなタイプなんだ?」桑原勝は顔を上げた。
「迅速果断だろ。気に入ったらすぐ行動する。俺が知る限り、お前と二十年以上の付き合いだけど、女を口説くのに一時間以上かかったことなんてないぜ。お前の立場の前じゃ、女たちは強がりたくても強がれないからな」
関口遥の言葉は確かに正しかった。以前、ある新人女優が駆け引きをしようとした時、桑原勝は彼女に目をつけたが、彼女は駆け引きをしてきた。
結果、桑原勝はその夜、その女優と同じ事務所の後輩と寝てしまい、翌日その後輩は大作映画の主演女優として大出世した。
その新人女優が後悔して桑原勝を探しに来た時には、彼は既に彼女が誰だったかも忘れていた。
それ以来、業界では皆知るようになった。桑原坊ちゃんは断られるのが嫌いで、興味を持った時は素直に服を脱ぐべきだと。
少しでも見栄を張れば、そのチャンスは永遠に失われ、二度と桑原勝に会えなくなるかもしれないからだ。
「彼女は他の女とは違う」桑原勝は真剣に言った。
「何が違うんだ?所詮は女だろ、金で解決すればいい」
「そんなに簡単なら、お前に教えを乞う必要もないだろ」桑原勝は呆れた。
「そうだな。お前の頭脳なら女を落とすなんて一瞬の事だ。でもお前が失敗したってことは、三つの事が言えるな」関口遥も真剣に分析した。
桑原勝は一瞬固まった。「どんな三つだ?」
関口遥は人差し指を立てた。「一つ目は、彼女がお前を愛していないってこと。好きな人がいるかもしれないし、お前なんか眼中にないんだ」
「その通りだ」桑原勝は頷いて認めた。
関口遥は中指も立てた。「二つ目は、彼女が金に執着していないってこと。お前と付き合えば使い切れないほどの金があるのに、それを選ばなかったってことは、お前の地位や身分に興味がないってことだ」
「その通りだ」桑原勝は親指を立てた。関口遥の分析は完全に正確だった。
「三つ目は、彼女が個性的な人間だってこと。簡単に言えば、かなりの実力者ってことだ。ネットでよく言われてるだろ?『お前がどんなに凄くても、俺は必ずしもお前を認めない』って。お前が好きになった女の子は、そういう稀少な実力者タイプなんじゃないか」
桑原勝はさっと立ち上がり、関口遥の肩を叩いた。「お前も凄いな、諸葛亮かよ」
「全部当たってたみたいだな」関口遥は自信げに笑った。