「もちろん違うよ。岑は僕の妹だから」
「実の妹じゃないけどね」桑原勝が的確に指摘すると、青木重徳の瞳に何かが一瞬よぎった。
「考えすぎですよ、桑原様。私の好みは岑のようなタイプじゃありません」
「ああ、お前の好みはDカップ以上だったな」
「はは、さすが分かってますね」
その後、青木重徳と桑原勝は雑談を続け、青木岑の話題には触れなかった……
しかし、お互いに何かを察知していた。
青木重徳は、桑原勝が青木岑に本当に興味を持っていることに気付いた。
彼が来た時、桑原勝のスマートフォンをちらりと見たところ、青木岑の写真が映っていたからだ。
すぐに戻るボタンを押したものの、彼はそれを確かに見た。
一方、桑原勝は、青木岑の話題が出るたびに、青木重徳の表情が多少なりとも落ち着かなくなることに気付いた。