第272章:彼女はあなたが触れられる女ではない(9)

南区看護師長になってから、仕事がますます忙しくなり、他の科からも手伝いを頼まれることが多くなった。

彼女は医術が優れていて、仕事に真面目だと評判で、そのため青木岑のプライベートな時間がますます少なくなっていった。

西尾聡雄は何度か抗議したが、彼女の甘えに負けてしまった。

やっと週末になり、休みを取って西尾聡雄とゆっくり過ごそうと思ったのに、西尾様は今日も残業だった。

朝の掃除をしている時、テレビでGK西部地域ウォームホテルの開業式のニュースを見た。

多くの人が見物に来ていて、大盛況で、現場は某大スターの映画発表会のようだった。

そこで青木岑はふと思いつき、西尾様にサプライズを贈ろうと考えた。

クローゼットから黒のナイキのスポーツウェアを取り出し、白い野球帽をかぶると、たちまち学生時代に戻ったような気分になった。