南区看護師長になってから、仕事がますます忙しくなり、他の科からも手伝いを頼まれることが多くなった。
彼女は医術が優れていて、仕事に真面目だと評判で、そのため青木岑のプライベートな時間がますます少なくなっていった。
西尾聡雄は何度か抗議したが、彼女の甘えに負けてしまった。
やっと週末になり、休みを取って西尾聡雄とゆっくり過ごそうと思ったのに、西尾様は今日も残業だった。
朝の掃除をしている時、テレビでGK西部地域ウォームホテルの開業式のニュースを見た。
多くの人が見物に来ていて、大盛況で、現場は某大スターの映画発表会のようだった。
そこで青木岑はふと思いつき、西尾様にサプライズを贈ろうと考えた。
クローゼットから黒のナイキのスポーツウェアを取り出し、白い野球帽をかぶると、たちまち学生時代に戻ったような気分になった。
それから白いマスクを付け、変装して開業式の会場へ向かった。
群衆の中に紛れ込み、スマホで西尾聡雄の写真を撮ろうとしたが、それは簡単なことではなかった。
周りは人でいっぱいで、多くの女の子たちが彼女の西尾様のことを「ダーリン」と叫んでいて、呆れてしまった。
開業式が終わり、西尾聡雄がホテルのロビーに入るのを見た青木岑は、こっそりと後をつけて入っていった。
西尾聡雄が秘書と共に休憩室に入ろうとした時、青木岑は前にいた数人を押しのけた。
突然駆け寄り、西尾聡雄の手を掴んで「西尾社長、一緒に写真を撮っていただけませんか?」と言った。
西尾聡雄は声を聞いて一瞬驚いた様子を見せた……
そのすきに、どこからともなく4、5人のボディーガードが現れ、すぐさま青木岑を取り押さえた。
そして外に連れ出そうとする勢いで引きずっていった……
両手を押さえられ、マスクも取れず、本当に困ってしまった……
その時、西尾聡雄が突然「彼女を放せ……」と叫んだ。
「社長、……これは危険な熱狂的ファンかもしれません」と永田さんが注意を促した。
「彼女を放して、中に入れなさい」と言って、西尾聡雄は休憩室に入っていった。
青木岑は目を丸くした。なぜ西尾聡雄が突然そんなことをするのか、私だと分かったのだろうか?
まさかそんなはずない、こんなにもしっかり包んでいるのに……これは科学的に説明がつかない。