青木岑はすぐに顔をそむけ、桑原勝を見なかったふりをして……
そして棚の上のピーナッツを手に取って開け、パクパク食べ始めた。
桑原勝は意志とは関係なく近づいてきて、「まさかカラオケに来てるなんて、不思議な感じだね」と言った。
「お願いだから、私がどうかしたの?私だって人間でしょ?あなたが来れるなら、私だって来れるわよ」
「つまり……あなたも夜遊びを楽しむ看護師さんってことだね」桑原勝は彼女をからかった。
「くだらないこと言わないで、車の修理は終わったの?」
「車?どんな車?」桑原勝は知らないふりをした。
「桑原勝、もう……」青木岑は大切な車のことを心配していた。修理に出して2、3日経つが、この数日は西尾聡雄が送り迎えをしてくれていた。
西尾様にそんなに苦労をかけたくなかったので、早く車を取り戻したかったのに、この男は知らないふりをしている。