第297章:この女があまりにもわがまま(4)

やはり、西尾聡雄はツンデレでも、青木岑の「ダーリン」という一言と甘えた眼差しには勝てなかった。

彼は完全に溶けてしまったのだ……

最終的に西尾聡雄の黙認のもと、青木岑はうきうきとマイクを西尾聡雄に手渡した。

そして佐藤然が曲を選ぶと、懐かしいメロディーが再び流れ出した……

「沈黙は金なり」は西尾聡雄と青木岑が高校時代に最も好きだった広東語の歌だった。

山下智久が歌うのが素晴らしいだけでなく、歌詞も特別良かった。

西尾聡雄の低くかすれた声が優美に響く——運命は既に富めるか貧しいかを定めており、間違いは永遠に正しくならず、真実は永遠に真実のまま。

何を言われようと、己の分を守り、常に信じている、沈黙は金なりと。

是非には道理があり、慎重に言葉を選び人を傷つけぬように。