第300章:この女があまりにもわがまま(7)

カードには「今回はあなたの車に当ててしまい、本当に申し訳ありません。車は修理済みです。次回は、こんなに激しく当てないように気をつけます」と書かれていた。

次回?まだ次があるつもり?しかも、そんなに激しく当てないって?どの程度まで当てるつもり?軽重の程度なんて把握できるの?

青木岑は怒り心頭で、車からユリの花を引っ張り出し、バンと地面に投げつけ、踏みつけた。

「あら、看護師長、どうしたんですか?」見波はちょうど出勤途中で、看護師長が花を踏みつけているのを見かけ、すぐに寄ってきた。

「なんでもないわ、どこかの変態から送られてきたの。縁起が悪いから踏んじゃった」

「もったいないですね、こんなに大きな花束なのに」見波は笑いながら言った。

桑原勝の謝罪文は確かに変だったけど、少なくとも車は修理されていて、むしろ以前より良くなったように見えた。

GK本社

幹部会議が終わった後、笹井春奈は急いで社長室に入った。

「用件は?」

「西尾社長、昨夜のことについて……」笹井春奈は何か言いたそうだった。

「昨夜のことについて、私からも話があります。あなたの形だけの仕事はここまでです。今後は母に会う必要もありませんし、私のために隠し事をする必要もありません。昨夜、母には全て話しました」

「西尾社長……」笹井春奈は、西尾聡雄がこれほど冷たい人だとは思わなかった。

「経理部で報酬を受け取ってください。今後は私の家に来ないでください。以上です」

「西尾社長……報酬はいりません、私はただ……」

「出て行ってください」笹井春奈の言葉が終わる前に、西尾聡雄は追い出すように言った。

彼には女たちの泣き言を聞く時間などなかった。青木岑以外の女には一切関心がなかった。

笹井春奈は涙を浮かべながら社長室を出て、非常に落ち込んでいた。

「笹井監督、大丈夫ですか?」永田補佐も様子がおかしいことに気づいていた。

笹井春奈は首を振り、急いで階下へ向かった……

一日中、気分が優れなかった……

彼女は会社で優秀な成績を収め、頻繁に残業もしていたのは、西尾聡雄に少しでも目を向けてもらいたかったから。

でも、やっと成功に近づいたと思った矢先に、全てが水泡に帰してしまった。

社長夫人の方も、もう彼女を諦めたようだった。昨夜の態度を見ればわかっていた。