第331章:金と権力の対峙(3)

「何?」青木岑は尋ねながら好奇心を持って開けると、中には金色に輝く大きな手羽先が4本入っていた。

「まさか...私のSNSを見たの?」

「ああ」

「でも時間的に無理じゃない?投稿してから15分も経ってないのに。手羽先を焼くだけでも20分はかかるでしょ?移動時間入れたら全然足りないはずよ。あなた、未来予知能力でもあるの?」

青木岑は完全に驚いてしまった...

西尾聡雄は淡々と説明した。「こっちに向かう途中、佐藤然が食事をしていた店を通りかかって、彼が注文していた手羽先も一緒に持ってきたんだ」

青木岑:...

「旦那様すごい」青木岑は、この手羽先が佐藤然から奪ってきたものだとは夢にも思わなかった。

だからこんなに早かったのね...

「車に乗って食べよう。外は寒いから」西尾聡雄が促した。

青木岑は頷いて、すぐに助手席に潜り込み、遠慮なく食べ始めた。

食べながら、油で光る指をペロペロ舐めている...

西尾聡雄は呆れた表情で、ティッシュを取り出して丁寧に彼女の指を拭いてあげた。

「はい、一口どう?本当に美味しいわよ」青木岑は手羽先を差し出した。

西尾聡雄は身を屈めて慎重に一口かじった...

「美味しい?」

「ああ」西尾聡雄は優雅に口元を拭いて頷いた。

「最高!旦那様って本当に優しい」こんな深夜に願いが叶って、青木岑の気分は最高潮に達していた。

西尾聡雄は青木岑が喜ぶ姿を見て、自然と嬉しくなった...

彼はずっと知っていた。彼の妻はそれほど多くを求めていないことを。このような小さな感動で彼女は満足できるのだと。

「ゆっくり食べて。まず水を飲んで」西尾聡雄はエビアンミネラルウォーターを差し出した。

青木岑は大きく二口飲んでから、あっという間に4本の手羽先を平らげた。

満腹になった後、青木岑は西尾聡雄の肩に頭を寄せ、満足げな様子だった。

「西尾様、ありがとう」

「何のお礼?」

「私たちが一緒に暮らし始めてから、細やかに私の面倒を見てくれて。まるで子供のように世話を焼いてくれて、自立心がなくなりそうなくらい」

「夫婦なんだから、当然のことだよ」

「もし私たちが別れることになって、あなたがいなくなったら、私はどれだけ寂しくなるんだろう」

「そんな日は来ない」