なるほど、彼女を遠ざけようとしたのは、そういう魂胆だったのか?触れられなくても目の保養にしたいってわけ?
西尾様の趣味もかなり変わってるわね……
まあいいわ、さっき私のことを恋しいって言ってくれたし、覚悟を決めましょう。片手でカメラを持って。
もう片方の手で襟元を少し引き下げると、白い鎖骨がはっきりと見えた……
「もう少し下げて」西尾聡雄はまだ満足していないようだった。
青木岑は黙ったまま、さらに襟を引き下げた。今にも胸が見えそうなところまで。
これが限界のようだった……
「もっと下げて」
「西尾聡雄、この馬鹿野郎」
青木岑はついに我慢の限界を超えて爆発した……
これ以上下げたら本当に乳首が見えちゃうでしょ?露出狂じゃないんだから、そんなバカなことするわけないじゃない。
青木岑が怒るのを見て、西尾聡雄は思わず口角が上がった。
やっぱり、彼の岑がこんな反応をするって分かってた。実に面白い。
「あなたに弄ばれてるわ、分かってる?」青木岑は抗議した。
「そんなことないよ。まだ本格的に遊び始めてないんだから」西尾聡雄は意地悪く笑った。
「絶交よ、さようなら」
そう言うと、西尾聡雄が何か言う前に、青木岑はすぐに通話を切った……
青木岑は西尾聡雄がすぐにかけ直してくると思っていた。妻をなだめるならそうするものでしょ?
でも期待は大きく外れ、しばらく経っても西尾聡雄からは何の反応もなかった。
きっと仕事が始まったんでしょう、青木岑は自分をそう慰めて、心の中の小さな失望を隠した。
もう夜の10時だというのに、全く眠気がなかった。
たぶん以前の夜勤のおかげで体が慣れているんでしょう。仕方なく青木岑は若い頃のアルバムを取り出した。
その時代はまだスマートフォンが普及しておらず、古き良きアルバムが流行っていた。
卒業写真や青春時代の写真が一枚一枚目の前に広がっていく……
懐かしい気持ちでいっぱいになった。時々思うのだけど、14歳から24歳までのこの10年間は、まるで一生分くらい長く感じる。あまりにも多くのことが起きて、西尾聡雄との出会いから別れまで。
最後には回り回って結ばれることになるなんて、本当に縁というものは不思議だと感じずにはいられない。
アルバムを片付け終わった頃には11時半になっていて、青木岑はなんだか腹が減ってきた。