「どうしたの?なんでここにいるの?」熊谷玲子は叫んだ。
「知るかよ、こっちが聞きたいよ」
佐藤然も唖然とした表情を浮かべた……昨夜は泥酔して、ほとんど記憶がない。
断片的な記憶では、熊谷玲子と食事をして、お酒を飲んで、彼女の機嫌が悪かったことだけ……
でも問題は、どうやってホテルに来たのか?さらに困ったことに、二人とも全裸だった。
熊谷玲子は自分の体を見下ろすと、下着すら身につけていなかった……
本当に狂ってる……
「佐藤然、この変態!人の弱みに付け込んで……」
「姉さん、俺が弱みに付け込むなら、あんたみたいなのは選ばないって」
「ふざけるな!私みたいな美人を狙ってたんでしょ。わざわざ食事に誘ってきたのも、そういうことだったのね。卑劣な男!」
「姉さん、天地神明に誓って、もし俺があんたを抱きたかったら、とっくにやってるよ。今みたいに年取って色褪せるまで待たないって」
「誰が年取ってるって言うの?」熊谷玲子は佐藤然を殴ろうと手を上げた。
しかし下半身に冷たい風を感じ、危うく露出するところだった……
すぐに布団を引き寄せて体を隠したが、力が入りすぎたせいか、布団を全部引っ張ってしまった。
佐藤然は一瞬にして丸裸で外に晒された……
「モラルってものないの?半分くらい分けてよ。私も裸なんだから」
「誰もあんたなんか見たくないわよ」
「俺は自分を見たいんだけど、いいかな?」
佐藤然もうんざりした……
実は二人が知らないことだが、昨夜は若い警官が彼の服を脱がせ、熊谷玲子の服はホテルの女性スタッフが脱がせたのだ。
二人にチャンスを作ろうとしたのだが、二人とも酔いつぶれていて、そんな機会は全くなかった。
「私たち……昨夜、何も起きなかったよね?」熊谷玲子は泣きそうな顔で佐藤然を見た。
「イエス様にお願いだから、何も起きてませんように」佐藤然は両手を合わせた。
「それはどういう意味よ?」佐藤然の嫌そうな表情を見て、熊谷玲子も怒り出した……
「落ち着いてよ。ベテラン警察官として見るに、何も起きてないはずだ。まず第一に……俺たちの体にキスマークも……不審な液体もない」
佐藤然の言葉を聞いて、熊谷玲子は思わず自分と佐藤然の体を確認した。確かに跡一つついていない。
「第二に、ゴミ箱や床にコンドームもない」