第347章:無茶しなければ死なない(9)

「しかし、私の依頼人の話では、熊谷玲子さんに何もしていない、ただお酒を一杯飲んだだけで、青木さんは完全な誹謗中傷で、後に私の依頼人を瓶で刺した件の言い訳をしているだけです」

「誹謗中傷なんかしていません。それは事実です」と青木岑は反論した。

「どんな事実ですか?私の依頼人を刺した事実ですか?」

青木岑は言葉を失い、弁護士にこのように追い詰められるのは本当に最悪だと感じた……

青木岑は、すべてを話すことはできないし、多くを語ることもできないことを知っていた。相手の弁護士に言葉尻を捉えられ、隙を突かれてしまうからだ。

「原告側弁護士の質問は終了です。被告側弁護士の質問に移ります」

吉田デニスは壇から降りることもなく、直接裁判官に向かって言った。「被告への質問は放棄します。真実を話すとは思えないからです。代わりに私の見解を述べさせていただきたいと思います」

「被告側弁護士、どうぞ」裁判官は手を上げて許可した。

「私の手元の資料によりますと、依頼人の青木さんは評判も人柄も非常に良く、二度にわたり規則を破ってまで人命救助を行い、職場の上司からも高く評価されています。このような人物が、無関係な人を理由もなく刺すとは考えにくい。すべての結果には原因があります。被告が何か過度な行為をし、私の依頼人を刺激したため、自己防衛として過激な行動に出たのだと考えます。現場には被告の友人が20人以上いたのに対し、私の依頼人は酔っ払った熊谷玲子さん以外、一人きりでした。このような状況で原告が怪我をしたということは、私の依頼人を追い詰めた結果としか考えられません。結論として、原告は事件の真相を隠蔽し、すべての責任を私の依頼人に押し付けようとしていると考えます」

「異議あり!相手側弁護士の発言はすべて推測に過ぎず、事実ではありません。結論を出すことはできません」小田勝田は興奮気味に言った。

吉田デニスは微笑んで、「私が述べた結論は個人的な見解であり、裁判官と陪審員の参考としてのものです。そう緊張なさらなくても」

「異議を却下します」裁判官は吉田デニスの言い分に理があると考え、小田勝田の発言を却下した。