「応援するわ、絶対に応援するわ。男性が好きでも構わないから、ただ一人でいいから孫を残してちょうだい。桑原家の血筋が途絶えないように。誰を愛そうと母さんは気にしないわ」
桑原勝は即座に冷や汗を流した……
「さすが実の母親ですね、携帯料金の特典でついてきた母親じゃないですよ」
「どうなの?最近好きな女の子でもいるの?」
「えーと……一人います」
「何をしている子?年はいくつ?どんな顔?写真はある?」桑原奥さんは即座に興味を示した。
「母さん……今はお話しできないんです。機会があれば、必ずお話ししますから」
「なんだか神秘的ね。まあいいわ。でも、もう若くないんだから、もう遊び半分はダメよ。会社のタレントたちとは、きっぱり縁を切りなさい。お爺様も言ってたでしょう。芸能界の人間は絶対に桑原家には入れないって」
「分かってます」桑原勝は頷いた。
「今夜は家に泊まる?部屋の準備をさせましょうか?」
「いいえ、母さん。自分の家に帰ります」母親と少し座って話した後、桑原勝は深夜にまた出て行った。
散々騒がせたが、桑原家はもうこの御曹司の性格に慣れていた。
翌朝
青木岑は出勤途中に、佐藤然からLINEを受け取った。
「青木さん、いますか」
「はい」
「熊谷玲子はどうなってるんですか?」
「どうかしたんですか?」
「LINEでブロックされました」佐藤然は泣き顔のスタンプを送った。
「えーと……なんで?」青木岑は全く理解できなかった。
「私も知りたいですよ。彼女、気が狂ったんですかね?なんで私をブロックするんですか?」
「ブロックされたのは確実?削除じゃなくて?」
「それに違いがあるんですか?」佐藤然は泣き顔のスタンプを送った。
「違いますよ。ブロックは完全にメッセージを受け付けない、あなたが何か彼女を怒らせることをしたってことです。削除は付き合いたくないから、完全に無視するってことです」
「青木美人様、さすがの分析ですね」
「で、教えてくれます?結局ブロックなのか削除なのか」青木岑はイヤホンをつけながら音声メッセージを返信した。
「ブロックです」
「ははは……早く話してください、一体彼女に何をしたんですか」
青木岑は非常に楽しそうに笑った。初めて佐藤然のこんな狼狽した一面を見た。
「何もしてないんですけど、信じてくれますか?」