第369章:私はあなたの理性が嫌い(1)

「佐藤然さんが、あなたに連絡できないって言ってたわ。WeChat でブロックされたって」

「そうよ、何か問題でも?」熊谷玲子は堂々と答えた。

「別に問題はないけど、佐藤然さんがあなたに連絡取れなくて私に聞いてきたのよ。一体どうしたの?どうしてこんなことになったの?」

「別に、ただ彼のことが気に入らないだけよ」

「気に入らないなら、もっと早くブロックすればよかったじゃない。どうして彼の彼女が来た日を待ってブロックしたの?ねぇ、あなた、その警察官のことが気になってるんじゃないの?」

「馬鹿言わないで、そんなことないわ」熊谷玲子は即座に否定した。

「はいはい、強がり続けてればいいわ」

「もう、私たちのことは一言二言では説明できないのよ。明日休み?」

「うん、今日は夜勤だから、明日は丸一日休みよ」

「じゃあちょうどいいわ。二人で買い物でも行って、ご飯食べましょう。最近気分が優れないから、話し相手になってほしいの」

「いいわよ。でも、あまり早くしないでね。今夜帰ってから少し寝たいから、お昼にしましょう。レストラン決まったら電話して」

「どうして私がレストラン決めるの?あなたが払うんじゃないの?」熊谷玲子はわざと聞いた。

「そうよ、私が払うけど、レストランは選んでもいいでしょ」

「さすが金持ち、お金持ちの友達で良かった」熊谷玲子はくすくす笑った。

「やめてよ、佐藤然さんの方が太い足よ。彼女と別れたって聞いたわ、ちょうどいいタイミングじゃない」

「別れたの?まさか」熊谷玲子は明らかに信じていなかった。

「西尾聡雄から聞いたの。うちの西尾様が言うことに嘘はないわ、保証付き」

「でも、どうして別れたの?」熊谷玲子は興味深そうに聞いた。

「それは佐藤然さんに直接聞いてみたら?」

「彼なんか相手にしたくないわ。じゃあ、明日連絡するわね」そう言って、熊谷玲子は電話を切った。

夕食後、勤務まであと30分、青木岑はオフィスに戻って机の整理をした。

それから病室を回って、各病室の状態を確認しようと思った。

そのとき、携帯が鳴った。ビデオ通話の着信だった。

「こんにちは、西尾様」通話をつなぐと、青木岑は微笑んだ。

こちら側の青木岑は相変わらず白衣姿で、黒縁メガネをかけ、すっぴんの愛らしい顔。