第385章:千佐子の蜜月(7)

四十五度の天然温泉の中で……

二人きりで、静かに抱き合いキスをしていた……

山の上では時折、大きな雪の花びらが舞い落ちてくる……

温泉の縁に置かれた高級オーディオ機器からは、ディズニーの名作アニメ『アナと雪の女王』の英語版主題歌『Let It Go』が流れている

この温かな光景を、青木岑は一生忘れることはできないだろうと思った……

何年経っても、この場面を思い出すたびに、涙が溢れてくるに違いない。

西尾聡雄は、彼女の少女時代の何気ない一言を夢にするために、どれほどの心遣いをしたのだろう。

それは七年前のことだった……

二人でスキー場に遊びに行った時、青木岑はこう言った。「もし私たちに自分のリゾート施設があったらいいのに。白い雪をテーマにして、温泉があって、スケートリンクがあって、温泉に浸かりながら頭上に雪が舞っているの。わぁ、考えただけでも最高!できれば雰囲気に合った音楽も流れていて、そんな光景、想像するだけでもロマンチックだわ」