第384章:千佐子の蜜月(6)

「必要ありません。ありがとう」

「冗談じゃないよ、本気だ」と桑原勝は主張した。

「私も冗談を言っているわけじゃないわ。本気よ、本当に要りません」

「仕事中?」

「いいえ」

「家にいる?」

「いいえ」

「じゃあ、どこにいるの?」桑原勝は白目を剥くような絵文字を送信した。

「バカンス中」

「一人で?」

「違うわ」夫と一緒だと言おうと思ったが、青木岑は自分が夫のことを自慢しているように思われたくなかった。

しかし、賢い桑原勝は彼女が誰と一緒にいるのか察し、すぐに沈黙し、返信をしなくなった。

ウェイボーのDMは、彼が青木岑と連絡を取れる唯一の手段だった。ファンに気付かれないように、コメントもできない。

DMしか送れないなんて、本当に困ったものだ……

さらに重要なのは、青木岑はウェイボーにあまり頻繁にログインせず、思い出した時だけたまにログインする程度で、オンラインになることは稀だった。