「好き、大好き」青木岑は目を開け、西尾聡雄の胸に寄りかかりながら、遠くに連なる山々を眺めていた。
「今回の休暇は少し短いから、まずはここでリフレッシュして、年休が取れたらモルディブに連れて行くよ」
「うん」青木岑は幸せいっぱいに頷いた。
その時、内線電話が鳴り響いた……
「はい?」
「はい、分かりました」
「行こう、食事に」
その後、二人は15階に降りた。15階には高級な内装の西洋レストランがあった。
青木岑が入ると、広々とした回転レストランには二人しかいないことに驚いた。
「どうしてお客さんが少ないの?私たちだけ?」青木岑は不思議そうに尋ねた。
「ホテルの社長が貸切にしたんだろう」西尾聡雄は推測した。
案の定、二人が席に着くと、40代くらいの少し太めの中年男性が近づいてきた。