第407章:1度目の冷戦(7)

西尾家の屋敷

豪壮な別荘は今、明かりが煌々と輝いていた……

西尾聡雄が玄関に入ると、リビングは散らかり放題で、西尾裕二がソファーに座ってタバコを吸いながら、黙り込んでいた。

母親はキャリーバッグを持って玄関に立ち、外出しようとしているようだった……

「お母さん……何をしているんですか?」西尾聡雄は眉をひそめ、両親の行動が理解できないようだった。

この数年間、母親は強気で気難しい面があったものの、物事の軽重は分かっていて、重要な決断は全て父親の意見が通っていた。

母親は日常生活での決定権を持っているだけで、西尾聡雄には理解できなかった。一度も喧嘩をしたことのない二人が、どうしてこんな状態になってしまったのか。

「息子、ちょうど良いところに帰ってきたわ。もうお父さんとは暮らせないの、離婚するわ。」

西尾奥さんは息子が帰ってくるのを見るや否や、すぐに悲劇のヒロインを演じ始め、涙を浮かべ、ひどく委屈そうな様子を見せた。

「一体何があったんですか?」

「お父さんがあなたは退職すると言って、それを承認したって言うのよ。でも私がどうして同意できるわけ?あなたたち父子で、こんな大事なことを私に相談もせずに決めるなんて、本当に私をこの家の一員とも思っていないのね。」

「お母さん、これは会社の問題です。」西尾聡雄は弁解した。

「何が会社よ、会社だって私たちの家のものでしょう?とにかく……言ったでしょう、私たちにはあなた一人しか息子がいないのよ。GKを辞めることも、私たちから離れることも許されない。一人暮らしを始めたことは我慢したけど、どうしてこれ以上私たちから遠ざかろうとするの?きっとお父さんが何か企んでいるのよ。外に誰かいるんじゃないかしら、妖狐でも囲って、私生児でもいるんじゃないかしら。だから私たち母子にこんなに冷たくするのよ。」

「でたらめを言うな……。」西尾裕二は怒りで指が震えた。

彼が西尾聡雄の退職を承諾したのは、ただの怒りに任せた言葉に過ぎなかった。どうして父子の情を断ち切れるはずがあろうか?

「お母さん……お父さんはそんな人じゃありません。お母さんは長年連れ添った妻として、私以上によく分かっているはずです。人を傷つける言葉は、軽々しく口にしないでください。言う方は何気なくても、聞く方はとても傷つくんです。」