第406章:初めての冷戦(6)

「患者に危険はありませんが、腰の手術後は療養が必要です。しばらく様子を見てからVIP病室に移しましょう」

手術を受けた永田美世子は顔色が真っ青で、見ていて胸が痛むほどだった……

麻酔薬がまだ効いていて、目覚める様子はなかった。

青木岑は原幸治にお金を渡して吉田伯母と食事に行かせ、自分は病室で看病することにした。

「姉さん、何か食べたいものある?持って帰ってくるけど」

青木岑は疲れ果てて首を振った。「何も食べたくないわ、食欲がないの」

「そう、じゃあ後で戻ってきて交代するよ」

原幸治はその後、一日中忙しかった吉田伯母を連れて外に食事に行った……

青木岑は永田美世子の手を握り、複雑な思いに駆られた……

もし永田美世子が実の母親でないとしたら、誰が本当の母親なのだろうか?

それとも、青木源人と原則明以外に、もう一人の実の父親がいるのだろうか?

永田美世子は今まで何も話してこなかった。母が目覚めたら、青木岑はこの件についてしっかり調べようと決意した。

24年生きてきて、突然自分の出自に別の可能性があることを知り、心が落ち着かなくなった。

しかし、永田美世子が実の母親であろうとなかろうと、育ててくれた恩がある。自分のせいで病床に横たわっている姿を見ると、やはり胸が痛んだ。

「お母さん……無事でいてください。早く良くなってください」青木岑は涙を浮かべながらベッドに横たわる人を見つめた。

原幸治は30分後に戻ってきた。吉田伯母は永田美世子が危険を脱したのを確認すると、そのまま帰宅した。

「姉さん、僕がお母さんの看病するから、少し休んでよ」

「大丈夫よ、あなたは帰って寝なさい。明日も学校でしょう」

「授業はそんなに忙しくないよ。姉さんは仕事もあるし、一人じゃ持たないよ」原幸治は姉を心配して、手持ちの食べ物を差し出した。

「これはお粥と漬物だよ。少しでも食べて。体調を崩しちゃだめだから」

「食べられないわ。幸治、ちょっとお母さんを見ていてくれる?私、同僚たちにご飯を買ってくるから」

VIP病室を出て、青木岑は近くの食堂でたくさんの料理を注文した。

山田悦子と小田彩羽はそれぞれ永田美世子のために400CCの献血をしてくれた。本当に親身になってくれた。