第405章:初めての冷戦(5)

「間違いありません。B型です。他の血液型なら血液バンクにありますが、最近B型の輸血を必要とする患者さんが多くて、血液バンクが不足しているんです。」

青木岑は腕を引っ込め、頭の中が真っ白になったような気がした……

この数年間、彼女は母の血液型に気を配ることはなく、ずっとAかABだと思っていた。

なぜなら青木岑自身の血液型はABで、それは何度も健康診断で確認済みだった。

そして青木源人の血液型については、前回病院で診療記録を見た時、青木源人はB型だった。

つまり、母親はAかABのはずだった。

なぜならAとABがB型と結びついてこそ、AB型の子供が生まれるからだ。

B型同士の両親からは、B型かO型の子供しか生まれず、絶対にAB型の子供は生まれない。

「あなたの血液型は使えませんね。他のご家族を呼んでいただけますか?」看護師さんは青木岑に言った。

彼女はゆっくりと立ち上がり、冷静にすべてを考えた。もしかして自分は青木源人の子供ではないのか?

自分は原伯父の実の娘なのか?しかしこの考えが浮かんだ瞬間、すぐに否定された。

なぜなら原伯父の死亡診断書で、彼女は見たことがあった。原伯父もB型だった。

だとすれば……彼女のAB型は一体どういうことなのか?

ぼんやりとした状態で手術室の入り口まで歩いた。

「姉さん、もう採血終わったの?痛くなかった?」原幸治が尋ねた。

幸治の血液型も彼女はよく知っていた。前回幸治が事故で入院した時に知ったのだが、幸治もB型だった。

つまり、家族の中で彼女だけが異質で、もし今回母が輸血を必要としなければ、彼女はずっと母がAかAB型で、自分と同じ血液型だと思い込んでいただろう。

「姉さん……?どうしたの?」姉が上の空なのを見て、原幸治は何度も呼びかけた。

「え?」

「ぼーっとしてるけど……どうしたの?採血したの?」

「ううん。」青木岑は茫然と首を振った。

彼女はいつも何事にも冷静に対処し、思考力を失うことはなかったが、この件は彼女にとってあまりにも衝撃的で、もう頭で考えることができなくなっていた。

「どうして?あなたも条件に合わないの?」

幸治の質問に、青木岑は答えずに我に返って言った。「産婦人科に行ってくる。同僚を探しに行くわ。確かB型の人が何人かいたはず。」

そう言うと青木岑は振り返って歩き出した……