「何しに来たの?」西尾奥さんは青木岑を見た瞬間、気分が悪くなった。
七年も会っていないとはいえ、青木岑の顔は七年前とあまり変わっていなかった。
幼さが抜けた以外は、相変わらず清秀で、どこか寂しげな顔立ちだった。
知らない人は青木岑をクールだと思うかもしれないが、実際はクール以上にクールだった。
完全に傲慢な性格で、自分勝手で、わがままで……
西尾奥さんは七年前、息子と青木岑の早すぎる恋愛関係に強く反対し、学校中の知るところとなった。
青木岑とは何度か直接対立したこともあり、だからこそ何年経っても青木岑の顔を忘れることはなかった。
西尾奥さんの言葉を無視して、青木岑は真っ直ぐにリビングの革のソファーに座った。
そしてゆっくりと背もたれに寄りかかった……
「不思議に思うんですけど、私と西尾聡雄のことは私が決めたことなのに、なぜ何度も私の母のところに行くんですか?貧しくて、あなたより地位が低いというだけで、いじめられて当然なんですか?」青木岑の声は冷たかった。
「ふん……子は親の教えの通りよ。でもあなたは小さい頃から父親なしで育ったでしょう。あなたの母親に言わないで誰に言うの?あなたに言うの?あなたがそんなに分別のある娘なら、そんな恥知らずな真似はしないでしょう?」
この話題になると、西尾奥さんは興奮して、口から出任せを言い始めた……
青木岑は冷ややかに笑って、「私のどこが恥知らずなんですか?」
「私の息子を誘惑するなんて恥知らずよ。若いくせに男を誘惑するなんて……まさにお母さんそっくりね?」
「でも男を誘惑するのも才能の一つですよね。あなただって西尾の父親を誘惑しなかったら、自分から結婚してくれたんですか?」
それを聞いて、西尾奥さんは顔色を変え、青木岑を指差して罵り始めた。「この小娼婦!何を言い出すの?私たち名門が、あなたたちみたいな賤民と同じだと思ってるの?」
「どうかしらね。もしかしたら、あなたたちみたいな一見高級そうな名家の方が、裏では私たち賤民よりもっと卑劣なことをしているかもしれない。表面は立派でも中身は腐っているってやつですよ」青木岑は西尾奥さんを見つめながら、一字一句はっきりと言った。