「何しに来たの?」西尾奥さんは青木岑を見た瞬間、気分が悪くなった。
七年も会っていないとはいえ、青木岑の顔は七年前とあまり変わっていなかった。
幼さが抜けた以外は、相変わらず清秀で、どこか寂しげな顔立ちだった。
知らない人は青木岑をクールだと思うかもしれないが、実際はクール以上にクールだった。
完全に傲慢な性格で、自分勝手で、わがままで……
西尾奥さんは七年前、息子と青木岑の早すぎる恋愛関係に強く反対し、学校中の知るところとなった。
青木岑とは何度か直接対立したこともあり、だからこそ何年経っても青木岑の顔を忘れることはなかった。
西尾奥さんの言葉を無視して、青木岑は真っ直ぐにリビングの革のソファーに座った。
そしてゆっくりと背もたれに寄りかかった……
「不思議に思うんですけど、私と西尾聡雄のことは私が決めたことなのに、なぜ何度も私の母のところに行くんですか?貧しくて、あなたより地位が低いというだけで、いじめられて当然なんですか?」青木岑の声は冷たかった。