第410章:第1次冷戦(10)

「離婚しよう」

「無理だ、考えるな」西尾聡雄は即座に否定した。青木岑と入籍した瞬間から、離婚なんて考えたこともなかった。

「あなたの意見を聞いているわけじゃない。同意しようがしまいが、まず別居する。そして半年後に裁判所に離婚を申し立てる。それだけよ」

言い終わると、青木岑は病室に入ろうとした……

「お前……」西尾聡雄は胸が痛み、青木岑の腕を掴んだ。

「離して」青木岑の声は冷たく鋭く、普段の彼女とは全く別人のようだった。

「入ってこないで。母はまだ目覚めていないし、あなたの顔なんて見たくないはずよ」そう言って、青木岑は病室に入った。

西尾聡雄は一人で病室の前に立ち尽くし、心の奥底が刺すように痛んだ……

これは彼が最も避けたかった事態だったが、結局起きてしまった……

七年前、青木家が突然の事態に見舞われ、彼女はアメリカ行きを断念した。