第409章:初めての冷戦(9)

「青木岑を探しています」

「彼女は家にいません」

「他に家族はいますか?」西尾聡雄が尋ねた。

「誰も家にいませんよ。あなたが岑の彼氏なんでしょう?」吉田伯母は不愛想に尋ねた。

「はい」西尾聡雄は頷いた。

「ちょうどいいところに来ましたね。お母様によく言っておいた方がいいですよ。もう来て騒ぎ立てないようにって。評判が悪くなるのは二の次として、美世子さんはこの何年も、一人で二人の子供を育ててきて、本当に大変だったんです。体も弱くて、血圧も高いし、普段からよく休養を取るようにしているのに、あの方が来て騒ぎ立てて、ボディーガードまで連れてきて押し合いへし合いして、結局入院させることになってしまって。その後、あなたのお母様はボディーガードと一緒に堂々と帰って行きましたよ。医療費も払わずにね。あなたの家族のような情けない人たちと、あの思いやりのある岑がどうして...彼女があんなに分別のある子なのに、あなたともったいないわ」