第409章:初めての冷戦(9)

「青木岑を探しています」

「彼女は家にいません」

「他に家族はいますか?」西尾聡雄が尋ねた。

「誰も家にいませんよ。あなたが岑の彼氏なんでしょう?」吉田伯母は不愛想に尋ねた。

「はい」西尾聡雄は頷いた。

「ちょうどいいところに来ましたね。お母様によく言っておいた方がいいですよ。もう来て騒ぎ立てないようにって。評判が悪くなるのは二の次として、美世子さんはこの何年も、一人で二人の子供を育ててきて、本当に大変だったんです。体も弱くて、血圧も高いし、普段からよく休養を取るようにしているのに、あの方が来て騒ぎ立てて、ボディーガードまで連れてきて押し合いへし合いして、結局入院させることになってしまって。その後、あなたのお母様はボディーガードと一緒に堂々と帰って行きましたよ。医療費も払わずにね。あなたの家族のような情けない人たちと、あの思いやりのある岑がどうして...彼女があんなに分別のある子なのに、あなたともったいないわ」

吉田伯母は西尾聡雄が具体的に何をしている人なのか知らなかったが、高級車に乗り、身なりの良い様子から、裕福な人物だと見て取った。

だから吉田伯母は遠慮なく、西尾聡雄に向かってまくし立てた......

「では、今どこにいるか教えていただけませんか?」

「入院していますよ。岑と幸治が病院で付き添っています。状態はかなり深刻で、手術は何時間も続いて、醫師は鋼釘を入れる必要があると言っていました。私は自分の目で見ましたよ。あなたのお母様があのボディーガードと一緒に、美世子さんを強く押したのを。裁判になっても私たちは怖くありません。証言してあげますから。あなたのお母様のような方は、身なりはいいし、見た目もいいのに、まさかこんなに品性に欠けているとは思いもしませんでした。それに...もしご両親が反対なら、なぜ岑に執着する必要があるんですか?こんなことになって...みんな不幸せになってしまって」

吉田伯母がまだ何か言い続けている中、西尾聡雄は丁寧に頷いて「ありがとうございます」と言った。

その後すぐに車を走らせて病院へ向かった。第一病院以外に行くところは思いつかなかった......

案の定、到着後、第一病院のVIP病室で簡単に情報を得ることができた。

西尾聡雄が着いた時、青木岑は入口の椅子に座り、頭を支えて何かを考え込んでいた。