第417章:比べ合おう、誰がより酷いか(7)

「このあばずれ女、何を言ってるんだ?」後ろにいた子分たちは、兄貴が女に罵られるのを見て、すぐに怒り出した。

「おいおい...みんな落ち着けよ。お嬢さんの話し方は面白いじゃないか、気に入ったよ」

ハゲは普段から、おべっか使いや、わざとらしい媚びた態度の女性ばかり見てきたせいか、青木岑のような若くて落ち着いた雰囲気の女性を見て、とても魅力的で特別だと感じた。

だから青木岑の言葉に怒りを感じることはなかった......

「お嬢さん、はっきり言おう。今日は、このお酒を飲もうが飲むまいが、あなたはここから出られないよ......無駄な言い争いをする必要はないだろう?」

ハゲの露骨な脅しに、青木岑はただ微笑むだけだった。

「私は揉め事を起こしたくないの。ただ静かに酒を飲みたいだけ。早く行って...これ以上しつこく付きまとうなら、面倒なことになるわよ」

「ハハハ...可愛いねぇ。どんな面倒なことになるのか、見てみたいもんだ」ハゲは青木岑の言葉を聞いて大笑いした。

青木岑は黙ったまま、ゆっくりとビールを手に取って飲み続けた。慌てる様子は全くない。

「笹井成夫」後ろから、男が彼の名前を呼んだ。

ハゲが振り向くと、すぐに顔色が変わった......

「関口坊ちゃん...どうしてここに?」ハゲは関口遥を見た瞬間、飼い主を見る犬のような態度になった。

実は、この笹井成夫は本物のヤクザでもなく、ただの名の通った街のチンピラに過ぎなかった。

立ち退きを迫って住民を脅し、不当な利益を得ることで生きており、評判は最悪だった......

彼も賢かったもので、一般の商売人たちだけを いじめ、この街の本当の金主には手を出さなかった。

桑原勝や関口遥のような人物には......

「てめぇ、遠くからでも見えたぞ、若い娘を困らせてるのが」関口遥は怒鳴った。

そして数人がこちらに向かってきた......

関口遥の後ろにいたのは、カーキ色のジャケットを着た桑原勝で、その隣には関口遥ともう一人の若者がいた。

四人は月下倶楽部で数時間遊んで、これから寝に帰るところだった......

階下に降りた時、関口遥は鋭い目で隅にいる青木岑を見つけた。

そしてこの人渣どもが青木岑に絡んでいるのも見て、その時桑原勝の目は怒りで血走っていた......