第414章:どちらがより残酷か(4)

「うん、彼女のことを頼むわ」電話を切ると、青木岑は軽くため息をついた。

彼女は少し怖かった。母親とどう向き合えばいいのか分からなかった。叱責や罵倒が怖いわけではなく、母親の無言の非難が怖かったのだ。

それは、どんな言葉よりも恐ろしかった……

気がつくと、青木岑は月下クラブの入り口に立っていた。前回ここに来たのは、熊谷玲子を迎えに来た時だった。

結果として大騒ぎになり……裁判沙汰にまでなった。

今回は、行き場がなくて、まるで何かに取り憑かれたかのように中に入っていった。

一階はバーで、五百平方メートル以上のフロアには、耳をつんざくような激しい音楽が鳴り響いていた。

「お嬢さん、何をお飲みになりますか?」ウェイターが丁寧に尋ねた。

「バドワイザー12本セット、お願いします」青木岑は淡々と答えた。