「西尾博士がここに入院していると聞いて、様子を見に来ました」吉田院長は白衣姿で、後ろには無口な男性助手が付いていた。
「どうぞお入りください」
青木岑は吉田院長が自分と西尾聡雄との関係を知っているような気がしていた。明言はされていないものの。
吉田院長が西尾聡雄のお見舞いに入った時、青木岑は自分が同席するのは適切ではないと感じ、母の見舞いのために上の階に向かった。
最近は本当に忙しかったが、南区に代わりの人がいてくれて良かった。でなければ、こんなに長く休暇を取ることはできなかっただろう。
上の階で幸治と軽く食事を済ませた後、青木岑は産科の山田悦子たちを訪ねることにした。
そこで数日ぶりに吉田秋雪と出会った……
青木岑を見かけた彼女は嬉しそうに「青木さん」と声をかけてきた。