「自分から誕生日プレゼントをねだるなんて、恥ずかしくないの?」西尾聡雄は冗談めかして笑った。
「知らないわよ。早く渡してよ」青木岑は初めてわがままを言って甘えた。まるで少女のように、7年前と同じように、理不尽で我儘だったが、西尾聡雄に甘やかされて天真爛漫だった。
「いいよ、食事が終わったら渡すから」
「じゃあ、急いで食べちゃう」そう言って、青木岑は急いで食べ始めた。
シーフードディナーの後、西尾聡雄は車で彼女をある場所へ連れて行った。
それは彼女が今まで一度も行ったことのない場所だった……
「どこに行くの?」見覚えのない道を見て、青木岑は不思議そうに尋ねた。
「誕生日プレゼントを取りに行くんだ」西尾聡雄は神秘的に答えた。
「冗談でしょう?まさか私のプレゼントを山奥に穴を掘って埋めたりしてないでしょうね?」車が南山の方向に向かっているのを見て、青木岑は笑いながら聞いた。
「まあ、そんなところだ」
「変態ね……」
二人は道中おしゃべりを楽しみながら、約40分後にようやく目的地に到着した。
やはり南山エリアだった。ここは政府が将来の主要開発地域として指定している場所で、数カ所の天然温泉があるという。
周辺にはゴルフ場やリゾート施設、最大の湿地公園があり、最も重要なのは、この山が海に面していることだ。山の上に立てば、街全体の海湾の夜景を一望することができ、とても美しい眺めだった。
以前からこの土地がGKに買収されたという噂があった……
西尾聡雄の神秘的な様子を見て、青木岑はその噂がほぼ確実に真実だと感じた。
「噂は本当なの?」
「どんな噂?」西尾聡雄は車を停めた後、青木岑の手を取って降りた。
「GKが南山の開発権を買い取ったって噂よ」
「ああ、この土地は父が10年前に買収していたんだ。ここ2年で政府が本格的な開発を始めて、市の中心部に次ぐ新しい繁華街になる可能性があるんだ」
「景色はいいわね。市街地から遠いこと以外は、すべていいと思う」青木岑は頷いた。
西尾聡雄は口角を上げ、青木岑の手を引いて上へ歩き始めた……
山道は平坦で、両側には明るい街灯が並び、水滴型で、とてもロマンチックだった。
「山頂まで行くの?」
「うん」
「じゃあ、なんで車で行かないの?歩くと疲れちゃうでしょう?」青木岑は不思議そうに尋ねた。