「桑原勝?なぜそんな格好をしているの?」
宅配便の配達員が実は桑原勝の変装だと分かって、青木岑は狂いそうになった……
「最近メディアが私につきまとっているから、昼間の外出は気をつけないとね」
「私に用?」
「会いたくなったから、会いに来ただけだよ」桑原勝は気軽に青木岑の向かいの椅子に座った。
青木岑は黙り込んだ……
「岩本奈義のことは、すまない」
「謝る必要なんてないわ。あなたのせいじゃないもの」青木岑は顔を上げて桑原勝を見た。
「私が伯仁を殺さずとも、伯仁は私のために死んだのと同じ理屈だ。私の過ちではないが、岩本奈義は私のせいで君に手を出した。君が無事で良かった。そうでなければ、一生後悔することになっていただろう」
「そんなこと言わないで。あなたが私の仇を討ってくれたじゃない?証拠を送ったのはあなたでしょう?」