第476章:24歳の誕生日(6)

「桑原勝?なぜそんな格好をしているの?」

宅配便の配達員が実は桑原勝の変装だと分かって、青木岑は狂いそうになった……

「最近メディアが私につきまとっているから、昼間の外出は気をつけないとね」

「私に用?」

「会いたくなったから、会いに来ただけだよ」桑原勝は気軽に青木岑の向かいの椅子に座った。

青木岑は黙り込んだ……

「岩本奈義のことは、すまない」

「謝る必要なんてないわ。あなたのせいじゃないもの」青木岑は顔を上げて桑原勝を見た。

「私が伯仁を殺さずとも、伯仁は私のために死んだのと同じ理屈だ。私の過ちではないが、岩本奈義は私のせいで君に手を出した。君が無事で良かった。そうでなければ、一生後悔することになっていただろう」

「そんなこと言わないで。あなたが私の仇を討ってくれたじゃない?証拠を送ったのはあなたでしょう?」

「ああ、彼女にチャンスを与えたんだ。でも大切にしなかった。正直に話してくれれば、せいぜい業界追放して、三、四年の刑で済ませるつもりだった」

「結局八年になって、控訴審も一審判決が維持されたって聞いたわ。あなたが手を回したの?」青木岑は佐藤然から、岩本奈義が不服で控訴したけど、二審も一審判決が維持されたと聞いていた。

「ああ、八年でも彼女には軽すぎるくらいだ」

「軽くないわ。彼女は芸能人よ。八年の刑務所暮らしは人生を台無しにする」

「彼女を哀れに思うのか?」桑原勝は笑いながら尋ねた。

「もちろん違うわ。ただ事実を述べているだけ」

「じゃあ……私を利用したのも事実なのか?」

青木岑は一瞬躊躇してから答えた。「事実よ。でも故意じゃなかった」

「構わない。責めてないさ。私を見抜ける人は少ない。君が私の弱点を掴めたのは偶然だ。天が私に君との出会いを用意しておきながら、チャンスをくれないなんて、私を殺そうとしているのかもしれないな、はは……」桑原勝は苦笑した。

「じゃあ、今日は私に愚痴りに来たの?」

「もちろん違う。言っただろう、会いたくなったから来たんだ。君のそのダメなWeiboは、いつもオフラインで、俺がずっと見張っていても収穫がない」

「Weiboはあまり使わないの」

「WeChatを追加してよ」

「ダメ」

「ちっ……相変わらず情け容赦ないな」桑原勝は笑った。青木岑がまだそんなに融通が利かないのは分かっていた。