第21章:東陶町の真相(1)

「取らない……」桑原勝はカードを持って、低い声で言った。

関口遥が取ろうとした時、桑原勝から目配せされ、すぐに萎縮してしまった。

「私も……取らない」関口遥は言葉を詰まらせながら言った。

最後に地主の役は青木岑のものとなった……

「45678910」青木岑はストレートを出した。

「パス」桑原勝は一言だけ言った。

「私も……パス」関口遥は手の中の8910JQKAを見ながら、苦しそうに三文字を言った。

青木岑は関口遥の様子がおかしいことに気づき、「私に遠慮する必要はないわ。これは試合よ、親善試合じゃないから、普通にプレイしてくれればいいの」と注意した。

「遠慮なんてしてません。本当に出せないんです」桑原勝は説明した。

「そうです、本当に出せないんです」関口遥は歯を食いしばって言いながら、心の中では既に決めていた。こんなに桑原勝の恋愛を手伝ったんだから、下船したら必ず桑原邸に行って、何か良いものを騙し取ってやろう。そうしないとこの屈辱は報われない。

「スリーカードワン」青木岑は再びカードを出した。

「パス」

「パス」関口遥は桑原勝の後に続いた。

青木岑はあまりにも順調すぎると感じ、爆弾を切った。「2のフォー」

「パス」

「私もパス」関口遥は引き続き我慢した。

「ジョーカーのペアがないの?なぜ出さないの?」青木岑はおかしいと思い、桑原勝に尋ねた。

「出せない……」桑原勝は説明した。

「信じられない」そう言うと、青木岑は桑原勝の返事を待たずに、彼の手のカードを開いた。

ディーラーは急いで制止した。「お嬢様、それは反則です」

「大丈夫です、彼女は友達ですから」桑原勝はディーラーに説明した。

青木岑は確認してみると、桑原勝は確かにジョーカーを一枚しか持っていなかった。

もう一枚は関口遥の手にあるはずだ……

そうして青木岑は楽々とこのラウンドを勝ち、二百万円のチップを獲得した。

「もう遊ばない」青木岑は次のラウンドをプレイする気はなかった。桑原勝と関口遥が彼女に譲りすぎていて、面白くなかったからだ。

「どうしたの?」

「あなたたち、誠意がなさすぎるわ。テーブルを変えるわ」そう言って、青木岑は本来受け取るべきチップを置いて立ち去った。

「あなたのチップが……」ディーラーは注意した。