第48章：私もあなたの弟（8）

「おい、何してるの？」

「どうせ頼んでも貸してくれないから、直接奪った方がいいでしょう」桑原勝は噛みながら言い、全く貴公子らしくない態度だった。

「桑原勝……昨日、私の顔に猫を描いたのはあなた？」

「げほげほ……違うよ」

「嘘でしょう」明らかに青木岑は信じていなかった。

「僕が描いたのは虎だよ。額に王の字も書いてあったでしょう？」桑原勝は言い訳した。

青木岑：……

彼女は最初、桑原勝が顔に落書きしたことを否定すると思っていたが、どうやら考えすぎだったようだ。

彼は猫ではなく虎を描いたと訂正しているだけで……

「桑原勝……暇なのね。スターキングは最近映画の撮影ないの？」青木岑は不機嫌そうに尋ねた。

「あるよ。でも、それは私の仕事じゃない。副社長が全部やってくれる。これが効率的な経営というものさ」

「ふん……怠け者だわ……」

「これから注文するけど、何か食べたい物ある？一緒に頼むよ……」

「結構です。もう食べましたから」

そう言って、青木岑は立ち上がり、残りの寿司を桑原勝に渡した。「今日作りすぎちゃって、残りはあなたにあげるわ」

桑原勝は少し驚いた様子で……

しかし寿司を受け取る勇気がなく、ただ不思議そうに聞いた。「こんなに優しくしてくれるの？」

「要らないなら、ゴミ箱に捨てるわ」そう言って、青木岑は取り上げるふりをした。

「いやいや、欲しい」桑原勝は急いで奪い取り、嬉しそうに寿司を持って病室に戻った。

青木岑は企みが成功したように笑った。「さあ、面白いことになるわね」

桑原勝が寿司を持って部屋に戻ると……

桑原勝：二人で注文して。私の分はいいよ。

関口遥：どうしたの？その寿司はどこから？

矢野川：きっと青木岑から奪ったんだろう。そうでなきゃ、あんなに嬉しそうな顔するわけないじゃん。

桑原勝：奪ったんじゃない。訂正するけど、もらったんだ。彼女がくれたんだよ。

関口遥：もらった？信じられない。食べ残しじゃないの？

桑原勝：二人とも、食べられないからって酸っぱい葡萄にしないでよ。一箱丸ごとだよ。さっき食べた一つ以外は全部揃ってる。残り物なわけないでしょう。ちゃんと彼女がくれたんだから。

関口遥：なんか怪しいな。寿司にヒ素でも入ってるんじゃない？

矢野川：私も同感。