「謝る必要はないわ。私に対して申し訳ないことなんて何もないから」青木岑は冷たく言った。
「姉さん、隠すつもりじゃなかったんです」幸治は自分の非を認め、うつむいた。
「先輩、私を叱ってください。私が先に幸治君を追いかけたんです。ずっと前から片思いしていて、初めて病院に先輩を訪ねてきた時から気になっていました。それから、こっそりSNSで繋がって、そして...私たち付き合うことになったんです」
「誰も叱るつもりはないわ。あなたたちはもう大人なんだから、自分で決める権利があるわ。でも、この件については理性的に考えてほしいの...私が早すぎる恋愛に賛成できない理由は二つあるの。一つは、あなたたちがまだ若くて、考えが定まっていないこと。将来にはまだ多くの不確実なことがある。もう一つは、あなたたち二人の性格をよく知っているから。純粋で天真爛漫すぎる。もし将来、恋愛がうまくいかなくなって挫折を味わったら、お互いにとって致命的な打撃になるわ。恋愛経験のない二人が付き合うのは危険よ。お互いの感情をケアする方法を知らないから、時間が経つと多くの摩擦が生まれるわ」
「姉さん...でも、当時の姉さんと西尾兄も...」
「黙りなさい...私たちとあなたの状況は違うわ。幸治...お姉ちゃんは反対しているわけじゃないの、ただあなたたちのためを思って...」
「姉さん...でも僕たちは本当に愛し合っているんです。僕は悦子を裏切ったりしません」原幸治は極めて純真な少年だった。
大學でも多くの女の子たちが好意を示していたが、彼の心を動かす人はいなかった。それなのに、二歳年上の山田悦子に恋をしてしまった。
これもまた因縁としか言いようがない...
「先輩、私も本当に幸治君のことが好きなんです。どうか私たちにチャンスをください。先輩を失望させることはありません。安心してください、私も自分で稼いでいますから、幸治君にお金を使わせたりしません」山田悦子は純粋な考えで、青木岑が幸治はまだ子供だから、恋愛に多くのお金を使うことを心配して反対していると思っていた。